アラフィフ、大学院生活を楽しんでみる

中年クライシス真っ只中の社会人大学院生。現在博士課程1年目。自閉症とコミュニケーションについて研究中。転勤族家族なので、日本中がホームタウンのつもり。仕事はパートタイムで、消費生活系相談員してます。コメント大歓迎です。

ものすごく仕事のできる人の行動の裏には「雪国」がある

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私の知り合いに、驚くほど仕事スキルの高い方がいます。

女性です。

年齢のころは、私とどっこいどっこいでしょうか。

ご本人おっしゃるには、一度は子育てのため社会から遠ざった時期もあるとのこと。

中途採用で会社に入り、みるみる出世されたご様子です。

 

お仕事でご一緒させていただくときは、私、いつもその方の動きに惚れ惚れしてしまいます。

 

事務作業も、もちろん早い。

でもなによりすごいのは、指示が確実に必要な時に、的確に出されることです。

これね、日本語で暮らしていると、実はとても難しいんですよ。

 

その女性が有能なわけは、想像を絶する以外なところにあったのです

指示が的確であることは、日本人にとっては実はとても難しいことなのです。

母語が日本語だと、誰がいう主語を普段の生活では省いてもいっこうに差し支えありません。

 

英語と比較するとすごくよくわかります。

これは私が最近、大学での勉強の中で見聞きしたことですので、知ってる方多いかもしれません。

 

川端康成の「雪国」知ってます?

皆さんもちろん知っていますよね。

書き出しは

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」

 

英語だとどうなるか知っています?

The train came out of the long tunnel into the snow country.

汽車は長いトンネルを抜け、雪国へ出た。

 

トレイン = 列車

日本語のこの文章中にはどこにも列車って出てきません。

私たちはでも、読むときには列車の中にいる自分をちゃんとつかまえながら、雪国を読み進めています。

もちろん、すぐ後ろの文章に、汽車が出てきますし。

 

あ、いえいえ、今日は別に英語の話をしたいわけではないのです。

日本語はこのようにして、行動する主体が誰なのかを言葉にしなくても、伝わるシステムということだけ伝えたかったのです。

 

そういうことを頭に置きながら、なぜ私の知っているその女性がかくも有能なのかずっと考えていました。

もしかしたら、英語とか他言語を操る方なのかな? と。

 

その疑問が氷解する日が来たのです。

たまたま私は、その方と雑談しておりました。

 

今度自分が、コミュニケーション支援学を学びに行くのだと伝えたところ、ある事を教えてくれました。

この方はお子さんの子育てをしているときに、学童保育のようなシステムのお手伝いをされていたらしいのです。

 

そういう場で、指示の通りにくい子ども達と接する必要が出てきたとおっしゃっていました。

その時に、ただただおろおろするのではなく、自分の言葉遣いを徹底的に精査してみたのだとおっしゃっていました。

 

どういったら、確実に相手に「自分の要求」が伝わるか。

守ってほしいこと、守らなければいけないことをいかに徹底させることが出来るのか。

 

子ども達の中には、ほんの一瞬目を離したすきに、すごい運動量を発揮して飛び出してしまう子も中にはいます。

 

子ども達の力って、あなどれないです。

イルカショーのイルカよりももっと高く、もっと力強く走っていく力を持っているのです。それが子どもなのです。

 

安全を守らなければならないのです。

こちらの言うことをどうしても、何としてでも、伝えなければならない。

 

自分が、誰に、なにを、どの程度の強さでやってほしいのかを伝える。

モノを言う時には、まず相手の名前を呼んで、注意を完全にこちらに向けさせてから伝える。

 

すごいことだなと思いました。

そういうボランティアのようなレベルの仕事の場からも、すごい仕事の技術を拾い集め身につけている人がいる。

 

人と共働して仕事をするのが、社会なのです。

自分だけでできる仕事は、本当にたかが知れています。

沢山の「技術ある人を活かす」言葉遣いを意識していくだけで、会社の業績ももちろん、自分の評価もぐっと上がるのです。

 

かっこいい人は、いつの瞬間も学んでいます。

私もせっかく秘密を教えてもらったのだから、どんどん心に落とし込んで、使ってみようと思います。