アラフィフ、大学院生活を楽しんでみる

中年クライシス真っ只中の社会人大学院生。現在博士課程1年目。自閉症とコミュニケーションについて研究中。転勤族家族なので、日本中がホームタウンのつもり。仕事はパートタイムで、消費生活系相談員してます。コメント大歓迎です。

30年経っても、それはアナタを裏切らない

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学生に舞い戻って、約一か月。毎日がなかなかスリリングで、得られる経験も過ごす時間も、密度濃いなと思います。そういえば大人になって以降、こんなに毎日が鮮やかではなかった気がします。不思議ですね。

 

頭をフル回転させていることが、見える景色まで鮮明にさせているのでしょうか。この光あふれる時間の中でふと気がついたことがあり、今日はその気づきについてお話しようと思います。

 

30年経っても、人生の絶対の力になるもの

我が家は私が文系課目が大好きな人で、連れ合い君と息子君は理系選択した人。文系だけれども私はなぜか生物をこよなく愛し、男チームは「生物はさっぱりわからん。物理の方がむっちゃ簡単やん」とのたまう状態。

 

現在大学院で受けている講義の一部が高校生物分野の発展形というイメージなので、私としてはとてもとても楽しい日々なのです。

 

高校時代、生物はただ好きなだけだっただけで、受験で勝負に使えたわけでもないのです。ただ単に、好ましい教科だっただけ。

 

だからこそなんでしょう、結局30年も経ってまた細胞や遺伝子やらに再会して、楽しさだけが蘇ったというわけです。授業を受けることが楽しくてしかたない状態になったというわけです。

 

この気づきは、とてもとても大事なことを教えてくれます。そうなのです。勉強こそ「楽しくて仕方がない」状態でやるべきなのです。

 

強いられてやったものなど、何も将来につながらないばかりか、悪影響を残すかもしれません。その反対に、ただ知ることが楽しくて面白くてやることは、思いがけない長時間を経過した後になっても、これほどまでに人生を明るくしてくれる何かになるということなのです。

 

そしてね。もう一つ大事なことがあります。人は基礎知識があると、その分野の話をとてもスムーズに聞くことが出来るのです。

 

数年前に、記憶と教育の世界的権威であるトニー・ブザン先生から聞いた話です。彼は世界中のすべての子どもに「学ぶ楽しさ」を知ってほしくて、70を過ぎた今でも飛行機で飛び回る生活をされています。そんな偉大な先生が教えてくれたことがあります。「馴染みの分野を少しでも増やしておくこと」。

 

彼は言いました。「人は誰かが話している分野のことを、少しでも耳にしたことがあると、ああ! あの分野のことだな! 知ってる知ってる、自分にもわかると興味深く聞くことが出来る。だから子供向けの入門書を手に取って、どんどん読むと良い。馴染みの分野を増やしておくようにね」と。

 

自分のここ一か月の経験を考えると、本当に世界の偉人はいいこと言うなあと思います。その分野へのとっかかりが出来るだけの本当に初歩的な知識があるだけでも、先生や人の話を聞くことがとてもスムーズになる。

 

知識がゼロだと、やはり先生が話す絵が見えてこないのです。ところが、1でも2でもいい、小学生レベルの知識であったとしても、全体像がおぼろげながらに見える場所にくると、俄然、学ぶことが楽になるのです。

 

そしてね。10代のころ、青春時代のころ、20代前半ごろまでに心浮き立つ経験をした分野は、50近くなった今となっても、再会した瞬間に「ぱか~ん」と興味のドアが開くのです。楽しかった記憶が蘇った瞬間、すべての脳回線がONのスイッチを入れるのです。

 

30年たっても、快を覚えたことは、愉快なのです。愉快で楽しくて、嬉しいことだからこそ、脳は喜んで「さらに学びたい」と思うのだろうなと今更ながらに実感しています。

 

楽しかった思い出は、30年たっても決してアナタを裏切らない。もちろん大人になってから始めた趣味であっても、同じことだろうと思います。快のスイッチを入れよう。心をONの状態に持ってこよう。必ずそれは、自分の人生を照らす明かりになるから。

 

そしてね。思わぬご利益もありましたよ。

 

私が頭を煮え煮えしつつも大学院に通うことで、息子や息子と仲の良い友達が「お前の母ちゃんええなあ、最先端の研究ってなんやわからんけど、すごいな」って、ちらっと思ってるらしいのです。思春期なので大っぴらには親には言いませんがね。一流の先生から学ぶ楽しい世界を親が泳ぎ回ることで、息子達にそういう世界があるってことが伝わるのですから、一挙両得。

 

やはりね、楽しそうにしていることは、誰かが見ているのです。勉強なので、一から十全部楽しいかと言うとそれはもしかしたら難しいかもしれない。なにしろド中年なので気力体力暗記力は、見事に低下の一方なのですから、努力必須の状態ですもの。でもやっぱりそれでも、楽しそうに坂を大学院目指して駆け上がっていく親がいるというのは、良い影響に結びついていくのだろうと思います。

 

自分の若かったころの興味関心が、大人の自分を助け、そしてまた、これから未来を生きる子供たちへ何らかのメッセージを残していく。今日も心して「楽しそうにやる」時間を少しでも長く保とうと思います。あ、でもね息子に言わせると、英語論文は眉間にシワ寄せて読んでいるようです。ダメじゃ~ん私。今日はせめても笑って読むとしますか。