アラフィフ、大学院生活を楽しんでみる

中年クライシス真っ只中の社会人大学院生。現在博士課程1年目。自閉症とコミュニケーションについて研究中。転勤族家族なので、日本中がホームタウンのつもり。仕事はパートタイムで、消費生活系相談員してます。コメント大歓迎です。

その一口が美味しいと知っている人に、次の扉は開かれる

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その一口が、誰にとっても美味しいのです! と聞いて、さあ、アナタは何を思い浮かべます?

 

名だたるお店の、なんとも雅な和菓子でしょうか。

分厚い和牛の、とろけるようなステーキでしょうか。

遠い異国から到来した、馥郁たる香りのお茶でしょうか。

 

今日お伝えしようと思うのは、食べ物のお話ではありません。

主婦から出発してしっかり堅固な足場を築き、かつ、世間の皆さんから引く手あまたの方々が身につけているある技能のお話です。

 

本当はね。当たり前に誰もが身につけていると思われていることなのですが。

いえいえ、これがなかなか大人になってくると難しいのです。

それこそが、コミュニケーションの3秒ルール。

 

相手を信じて、3秒待てますか

私、ここ数年ずっと、発達障害の子どもたちにどう教育を提供していくのかを、追い求めています。

その中で特に自閉症と名のつく分野について、深くかかわるようになってきました。

一人ひとりの子どものことをもっと知りたいと思うようになると、聞こえてくる世界も変わります。

 

まだ私の場合、彼らが出してくるコミュニケーションの信号を、うっかりしていると見逃してしまうことも多いのです。

 

だからこそ、コミュニケーションとは一体なんぞやというところから、勉強を再スタートさせる必要がありました。

幸い、この分野の日本の第一人者が居住地の大学にいらっしゃるので、教えを得ることができました。

 

コミュニケーションってね。

私たち、何の不安もなく普段やりこなしているように思いますよね。

実は実は。行動を分析してみますと、驚くほど深い世界なんです。

 

人は、目の前の人とお互いの呼吸を読み、言葉や態度のすべてを駆使して、お互いを助け合いながら進行させています。

まさに、全能力を使って行っている活動なのです。

 

私が、この方すごいな~と思って拝見している方々。

この、コミュニケーションの大事な部分を、とても重要視しています。

理論を知っていて使いこなしているのではないようなのですが、でも、教科書以上のすごい行動をされています。

 

さて、今日のテーマ3秒ルール。

 

会話ってどういう風に成り立っているか考えるとよくわかります。

講義形式のものではなく、会話のコミュニケーションです。

つまり、一対一ですよね。

数人で話していても、やはり部分部分をみると、一対一。

 

そしてね。

コミュニケーションはキャッチボールに例えられます。

ボール投げで、一人が一回に投げるボールは1個。

 

有効に働く会話も同じ。

一つの発言で相手に伝える内容はやはり、一つなんです。

3つも4つも、一度にボール投げても誰も拾えません。

聖徳太子ではないので、聞き取ることもできません。

 

コミュニケーションは決して、相手を屈服させようとして行うものではないですもの。

授業や講義とも、まったく違いますしね。

 

二人の共同しての行う作業で、かつお互いがお互いから引き出された素晴らしい情報をもとに、次のステップに進むためのモノです。

 

だからこそ3秒ルールが必要なのです。

一回こちらからボールを投げたら、相手を信頼して信用して3秒待つ。

その間に、目の前の大切な人は何らかの反応を返してくるかもしれない。

 

この3秒待つことは、実は、自分と相手を十分に信頼してないと、なかなか難しい作業なんです。

人って、相手の無言はなんとなく居心地悪いの。

しかも、自分がしゃべっているときは、自分が相手をある意味コントロールできているから安心感があるのです。

これがかなり、たちの悪いものなので、私も訓練しても訓練し続けの毎日です。

 

自分が安心するために、人をコントロールしたくなってくることが続くとね。

結局は誰といても、「居心地のいい人」という認識を与えることも得ることもできなくなってきます。

 

私たち、どんな場合もね「呼吸が楽にできる気持ちの良い場所で、気持ちの良い行動をしたい」って思っているのです。

 

「あなたといると楽しい、嬉しい、居心地よい」って言ってもらえたら、それはすごい宝物ですし、おそらく人生最大のほめ言葉だと思います。

 

世間に出て、しっかり社会からの注目を集めているような人は、多かれ少なかれ、やはりこの居心地の良い場を提供する努力をしています。

天性でやりこなしている人も中にはいるでしょうが、私の知っている人はほんと、真面目に自分をチェックして取り組んでいらっしゃいます。

 

赤ちゃんはにっこり笑うことで、こういう場を作り出していますので、人間はなにか本能的に知っていることなのかもしれません。

でも大人になってくる途中で、特に子育てとかしていると、子どもをなんとか育てようと奮闘している間に、ふと忘れがちになってしまうことでもあります。

 

人をコントロールしないように、人を自分の色眼鏡だけで見ないように、いつも自分をモニタリングすること。

自分をチェックする機能というのも、簡単に見えてものすごく難しいことではあります。

だからこそ、意識して見続けるほかないことなのでしょうね。

 

私がご一緒していた人達は、本当にその方の人生の山や谷の荒波の中で、泣きながら皆さん身につけてきたとおっしゃっています。

本当にこういうところがすごい人々だなと思います。

人生のどん底の時こそ、学ぶ続けていたということですから。

 

圧倒的な人々が、死ぬ思いで身につけてきたこと。

でもこうして、私たちは先回りして学ぶことが出来るのですから。

ぜひ明日の朝がきたら、この3秒ルールを思い出して使ってみてください。

 

相手を信用し、自分が投げたい言葉のボールを投げること。

相手が受け取りやすい形で、受け取りやすい強さで、投げること。

 

そして、相手の次なる行動を、3秒待つこと。

 

人はいつの時も、人とコミュニケートしたいのです。

黙って本を読んでいる時も、ちゃんと私たちは本の中の登場人物と会話してたりしますよね。本の著者と、じっくり語りこんでいたりしますよね。

 

明日の朝、さあ、楽しみに起きてみましょう。

きっと、アナタの目の前の大切な人は、アナタに新鮮な驚きをもたらしてくれると思います。

 

相手が口をふっと開きたくなるような、美味しい言葉を届けてみよう。

そして相手から出される、かすかなでも豊かな香りのする言葉を、しっかり目と耳と体で受け取ってみよう。

その一口が、相手からとどくその一語が、きっと最高に美味しいのです。

 

そういう日を、1日1日と積み上げていくうちに、次の人生の扉は開いていくのだと思います。